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ファイナンシャルプランナー 村井一則【連載コラム1】

カードローンの利用で守るべきルール

誰でも手軽に利用できるカードローン。カードローンは特別な借金ではなく、むしろ身近な存在と言ってもいいでしょう。今回は、借金でトラブルにならないためのルールについて説明させていただきます。

借金は身近な存在に


近頃は、10人に1人以上の割合で消費者金融の利用を経験しています。昔と比べると借金に対するイメージも変わってきました。1970年代は「サラ金・街金」などとも呼ばれ、怖そうなイメージがありましたが、民間の金融機関の参入やテレビCM等の広告。さらにはATM、自動契約機、の普及もあり、以前に比べて借り入れに対する抵抗が少く、より一層身近な存在へと変わってきたように感じます。

突然な出費に「困ったら気軽にいつでも借り入れられ、自由に返済できる」というのは、忙しい現代人にとっては有難いサービスですし、今後もニーズは高い金融サービスと言えます。

知識不足が借金地獄になる危険性を招く


借金が身近になったからといって、手放しで喜んでもいられない状況でもあります。その理由は、返済トラブルに巻き込まれている人も後を絶たないためです。

金利について理解していれば、返済の見通しに応じて借入額を設定できますが、借入の経験が乏しい人は、緊迫した状況において、冷静に判断する能力が低下してしまいます。「とりあえずお金を借りることが出来れば多少の金利が高くとも構わない」という精神状況に追い込まれており、必要な額を設定せず、限度額の融資を希望してしまうケースもあるのです。

手持ちの資金があれば安心できるのでしょうが、必要以上の融資はのちのちの借金返済額で泣くことになり、誤った行為であるのは言うまでもありません。

金融知識はインフレに対応できるのか


2013年度は、景気の回復の気運が高まりインフレターゲットが示されました。順調に成長できれば、給料アップで景気上昇が実感でき購買意欲は高くなるでしょう。懐具合が良くなると人は「本能的に他人の持っている物を欲しがる欲求」「自己実現したい欲求」も同時に高まってくるものです。

バブルを経験した世代の40代後半以降は、投資の失敗などで高い授業料を払うなど「痛い体験」をした方が多いので、金融知識があり無駄な借金はしない傾向が強いです。しかし未経験の世代は、金融知識のルールを身につけていないので多少の不安が残ります。つまり、20代・30代は、デフレの時代で育ってきた世代ということもあり、これまでは借金して高額商品を買うという習慣があまり無かったのですが、もしこの先、景気が回復してバブル的な経済状況に好転したとしたら、そのまま借金を拒む感覚が保っていけるのか、と私は不安に思うのです。

「このぐらいの金額ならすぐに返せる」と思って安易に借金をしてしまうと、借り入れ当初は大丈夫でも、短期間の融資を繰り返しているうちに、返済不能などの借金トラブルに巻き込まれたりする人も出てくることでしょう。金融セミナーを開催すると、受講者の中に、借金に無関係だから安心だと思っている人がいますが、私は、そういう人ほどトラブルに巻き込まれる傾向にあり、事前に対処法についてについて勉強していくことが必要なのだと説明するようにしています。

守るべきルール「借りたお金は必ず返す」


社会生活を営む上で基本的なルールとして「借りたお金は返す」ことは常識な話です。しかし、社会問題として、リストラ宣告・給料カット・ボーナスの削減・就労の多様化・介護・病気やケガによって収入が途絶えてしまう生活リスクを誰もが抱えているのです。終身雇用が破たんした昨今では、一生涯働いて収入が獲れる補償はありません。

そのような状況でも、毎月の返済は確実にやってきます。家賃・住宅ローン・クレジットカードの請求・公共料金・学費など…。切羽詰まれば、最低のルールである『借りたお金を返せなくなる場合』もあるのです。

そんな時、貴方はどのようにして乗り越えていきますか?

最低のルールを守るために


毎月の給料は、働いた褒美として受け取れる権利ですが、勤めている会社の業績によっては給料が減らされる可能性もあるでしょう。一度でも給料が下がってしまうと、「また給料が下がるのではないか」、「リストラの対象になるのでは」と常に不安を抱えながら生活していくことになります。

そういう時は、早めに収支プラン・ローン返済計画の見直しを考えて、不安を除くことです。間違っても、借金を借金で返す「自転車操業」だけは止めましょう。一時的には返済のストレスが解消されますが、借金が雪玉式に膨れ上がっていく悪循環が待っているだけです。

真面目な人ほど負債を抱え込みやすい。


生真面目で金融知識が乏しい人が陥りやすいケースもあります。真面目な人ほど他人には迷惑をかけまいとするので「頑張って返済しよう」という性格が災いし、自転車操業をしてしまうのです。確かに借りたお金を返すことは守らなければならないルールですが、劇的な収入アップが見込まれない状況の場合であれば、債権者に相談するということも、ある意味ルールのひとつです。

収入の見通しや生活の状況を説明して同意が得られれば、返済プランの変更や利息だけでの返済で遅らせてもらえる場合も多くあります。黙っていれば、利息以外にも延滞金が課せられ負債が膨らむだけで、ペナルティを課せられ、法的な処置を講じられてしまうだけです。金銭の貸し借りは、お互いの信頼関係によって成り立っているものなのですから、返済が困難になった時こそ、ルールを守るようにしましょう。

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